ヘッジファンドとは?
1. 世界のヘッジファンド市場
- ヘッジファンドは、ハーバード大学基金などの機関投資家や超富裕層が投資対象としているアセットクラス。世界における運用残高は263兆円(2013年、1ドル=100円換算。Barclay-Hedge Dateより。日本の国家予算の倍以上の規模)にのぼり、年々増加している。
- 最大の特徴は、下落相場でも利益が期待できる運用手法(絶対収益追求型)。そのため、日本でも世界同時株安等に対するリスクヘッジ目的で所有する機関投資家が増加している。国内残高は2.2兆円、年間投資額は2,794億円(金融庁/ファンドモニタリング調査2014)。

- ハーバード大学基金は、ヘッジファンドをポートフォリオの一部に組み込むことで、「リスクを抑えながら、リターンを目指す」運用をしている。
ハーバード大学基金や超富裕層がヘッジファンド(Hedge Fund)に投資する理由を詳しく知る>>
1-(1) 運用資産残高と資金フロー
- 1990年以降、ヘッジファンドの資産規模は拡大し続けている。Hedge Fund Researchの推計では、2007年末時点の運用資産残高は、約1.9兆ドルと過去最高。
- ヘッジファンドの資産規模は世界の金融資産全体の1%程度だが、成長のスピードが速いこと、レバレッジを考慮した実際の取引額は運用資産残高の2.5~3.5倍と言われている。

- ヘッジファンド市場への資金流出入に関する最新の新聞報道
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- Hedge Fund Research の推計では、2007年の資金流入額は、1-3月期、4-6月期、7-9月期、10-12月期がそれぞれ642億ドル、587億ドル、451億ドル、265億ドルと、サブプライム問題が顕在化した第3四半期以降、やや減少している。ただし、年間でみれば1945億ドルと過去最高。(日経金融新聞2007年10月26日、9面)
- Eureka Hedgeの推計では、07年に日本を除くアジアに投資するヘッジファンドには224億ドルの資金が流入したのに対し、日本資産に投資するヘッジファンドからは77億ドルの資金が流出した。(日本経済新聞2008年2月5日、7面)
1-(2) ヘッジファンド数の推移
- ヘッジファンド数は一貫して増加傾向にある。Hedge Fund Researchの推計では、2007年3月末時点のヘッジファンド総数は9575本。
- 新設本数は、2002年以降、毎年1000本を超えている。2005年には総本数8661本のうち、新設本数が2073本と約4分の1に及ぶ。
- 一方、精算本数も増加傾向にある。収益機会に限りがある中で多数のファンドが新設されていることにより、ファンド間の生存競争が激しくなっているとの指摘がある。

| 総数(a) | 新設本数(b) | (対総数比)(b)/(a) | 清算本数(c) | 清算本数の対新設 本数比* (c)/(b) |
---|---|---|---|---|---|
1996 | 2,781 | 507 | (18.2%) | 109 | 21.5% |
1997 | 2,990 | 261 | (8.7%) | 52 | 19.9% |
1998 | 3,325 | 450 | (13.5%) | 115 | 25.6% |
1999 | 3,616 | 348 | (9.6%) | 57 | 16.4% |
2000 | 3,873 | 328 | (8.5%) | 71 | 21.6% |
2001 | 4,454 | 673 | (15.1%) | 92 | 13.7% |
2002 | 5,379 | 1,087 | (20.2%) | 162 | 14.9% |
2003 | 6,297 | 1,094 | (17.4%) | 176 | 16.1% |
2004 | 7,436 | 1,435 | (19.3%) | 296 | 20.6% |
2005 | 8,664 | 2,073 | (23.9%) | 848 | 40.9% |
2006 | 9,462 | 1,518 | (16.0%) | 717 | 47.2% |
2007 (Q1) | - | 251 | - | 138 | 55.0% |
2007 (Q2) | - | 358 | - | 166 | 46.4% |
2007 (Q3) | - | 255 | - | 105 | 41.2% |
1-(3) ビークル、投資マネージャーの所在地
- 世界のヘッジファンドの約3分の2が、ケイマン諸島やヴァージン諸島に籍を置くオフショアファンドである。これらの地域はタックス・ヘイブンであるほか、ファンドの設立が非常に容易であることが、多くのファンドを惹きつける要因となっている。
- 投資マネージャーは、規制や税制の他、ビジネス環境等を勘案して拠点地を決定すると言われる。現時点では、アメリカやイギリス、アジアでは香港やシンガポールが多い。


1-(4) 投資主体の変遷
- 1990年代のヘッジファンドの主な投資主体は、裕福な個人投資家であった。
- 最近は、投資家の機関化が進み、年金基金や企業、大学等による投資が増えている。
