アクティビストファンドとして有名なエリオットマネジメントが、ソフトバンクグループの株式を約3%分およそ2700億円相当を購入したことが分かった。
エリオットマネジメント側はソフトバンクに対して、ソフトバンク・ビジョン・ファンド等の投資判断等について透明性の確保を求めるなど、企業統治の改善を求めているもようだ。
傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドは、シェアオフィスのウィーワークの経営問題が表面化した他、配車サービス大手のウーバーの株価の低迷等により、グループの業績悪化の一因となっている。また第2号ソフトバンク・ビジョン・ファンドの調達額が目標の半分以下しか集まっていないという報道もあり、今後の業績予想の修正にも注目が集まっている。
様々な事業に投資している企業が、株式市場で正当な評価を受けていない状態をコングロマリットディスカウントという。サードポイントがソニーに対して、金融や半導体事業の売却を迫ったのも、個々の事業を評価した場合よりも、全体で評価した場合のほうが価値が低く見積もられていると考えているためである。
こうしたことは各業種ごとに適正なバリュエーションが異なるため、比較した投資がしにくいことから生じていると思われる。
コングロマリットディスカウントが生じている企業に対しては、事業の分離などを求めていく可能性が高い。
孫正義社長は、決算発表会で自身の会社の時価総額が割安すぎると説明していたため、エリオットマネジメント側の提案を好機ととらえる可能性もあるが、長期目線の経営者と、短期志向のヘッジファンドで利害が一致できるか不安を懸念する声もある。