2019年のヘッジファンドの運用成績は堅調に推移している。Barclay Hedge Fund Indexによると11月までのリターンは 8.97%となっている。
しかしその一方ヘッジファンド全体の運用手数料は低下傾向にあるという。
ユーリカヘッジのリポートによると、今年上半期の世界の新規ヘッジファンドの平均運用手数料は、サブプライムショック前の2007年の1.6%から1.2%に低下した。運用実績に連動する成功報酬は約14.5%に低下し、ファンド全体はかつて標準と考えられていた2%の運用報酬と、20%の成功報酬を示す、「2の20」手数料モデルを大きく下回った。
世界のヘッジファンド資産の半分以上は、最低20%の運用報酬を得て運用されているが、手数料の少ない運用会社は、2008年末の16.3%から6月には業界資産の41.3%に市場シェアを拡大した。
ユーリカヘッジのヘッジファンド・リサーチ&インデクシング部門のヘッド・アナリスト、モハマド・ハッサン氏は、パフォーマンス・フィーの「非対称の」な性質——ヘッジファンド・マネージャーは顧客の利益を分け合うが損失は分配しない——が投資家からの請求を減らすよう圧力をかけた一因だと指摘する。
多くのヘッジファンドはこの非対称性を自己資本投資することで緩和している。
一方、運用成績の好調なヘッジファンドの中には反対に手数料を引き上げるところも出ている。大手ヘッジファンドのDEショーは管理手数を3%・成功報を30%に引き上げた。またエレメント・キャピタル・マネジメントは管理手数料を2.5%から2%に引き下げる代わりに、成功報酬を25%から40%に引き上げるという大胆な方針を示している。